中国はグリーン水素でも主導権を握るのか(前編)

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  • マネジメントコンサルティング部 主任コンサルタント 平田 裕子
  • マネジメントコンサルティング部 主任コンサルタント 張 暁光

サマリー

◆カーボンニュートラルを目指す国・組織が増加したことで、これまで長期目線で捉えられてきた「水素」などの脱炭素技術への関心が急速に高まった。再生可能エネルギー電力によって、水を電気分解(水電解)して製造された水素は「グリーン水素」と呼ばれ、従来の工業分野における利用はもちろんのこと、今後はエネルギー分野での利用拡大が期待されている。

◆グリーン水素の製造には電気分解装置(電解槽)が用いられる。世界各国では、2020年以降、電解槽規模10MW超の比較的大規模なグリーン水素製造プロジェクトが見られるようになった。そのようななか、中国では100MW超のプロジェクトが稼働を開始した。EV(太陽光発電)、PV(電気自動車)分野で見られたように、グリーン水素分野においても中国企業が世界を席巻するのだろうか。

◆中国では2020年9月の「双炭」宣言以降、「グリーン水素」が主要テーマとして浮上し、「中央国営企業の参入」と「大規模グリーン水素製造プロジェクトの稼働」が進んだ。稼働中・建設中の大規模プロジェクトを概観すると、強力な政府方針のほか、中国のグリーン水素製造を後押しする3つの背景が見えてくる。①膨大な再エネ資源、②国産の電解槽技術、③世界最大の水素需要、である。後編ではその3点を深掘りしていきたい。

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