2021年の第三者割当増資の動向

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  • 大川 穣

サマリー

◆2021年の国内上場企業が実施した第三者割当増資は112件であり、業種別では「サービス業」「情報・通信業」「小売業」の合計で全体の3分の2を占めた。

◆資金使途の特徴として、コロナ禍による財務状況の悪化により、運転資金の確保や借入金の返済に対応した案件が見受けられ、全体として新規性のある事業領域への投資は多いとは言えず、むしろ既存事業の推進・拡大に関わる投資が多かった。他方で将来のM&Aや株式取得に資金を充当する案件も少なくなかった。

◆第三者割当増資は資金調達手段の一手法である一方、割当先との資本業務提携に用いられる株式取得スキームでもある。発行企業の立場からは是が非でも割当先との提携を実現させようと調達に動くことになろうが、株式の希薄化に照らし、既存株主の信頼を高められるだけの資金使途や提携内容となっているかがポイントとなろう。

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