サマリー
◆株式公開買付け(TOB)が近年増加している。本稿では、2020年から2025年6月末までのデータを基にTOBの種類やその使われ方、傾向を調査した。
◆TOBは大きく二つに分類できる。一つは、ある会社が他の会社の株式を取得するために行う「他社株TOB」、もう一つが、自己株式を取得するために行う「自社株TOB」となる。
◆2024年は過去最多127件のTOBが実施され、前年比21.0%の増加となっている。2025年は半年が経過した6月末時点で81件と過去最速のペースで増加しており、このままの傾向が続けば、過去最多件数に達する。
◆2024年は、M&A案件ベースでは95件の他社株TOBが行われた。内訳を見ると、第三者によるTOBが51件と最も多く、次に親会社による子会社または関連会社を対象とするTOBが26件、続いて、MBOを目的としたTOBが18件であった。自社株TOBは29件であった。
◆2025年に入りTOBは昨年を上回るペースで増加している。特徴としては、今までに類を見ないような大型のグループ再編・業界再編、業界を跨いだ再編が行われており、その実現手段としてTOBが利用されている。
◆日本は世界的に見て上場会社数が多く、東京証券取引所は、「日本市場の魅力向上に向けて、上場企業の数ではなく質(投資者の期待に応えた企業価値向上の実現)を重視」する方針を打ち出している。今後、各上場会社が経営の「質」を高めていく過程において、M&Aは当然検討される打ち手の一つとなり、その実現手段としてTOBはこれからも暫くは増えていくことが想定される。
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