新年を迎えたが、急速な円高、米国のサブプライムローン問題の余波に起因する株式市場の下落など明るいニュースのないまま半月が過ぎた。
新年といえば、年始の特集記事として各企業トップの年頭所感が掲載されている。どのように変化したかみてみよう。
昨年(2007年)の主要企業トップが発表した年頭所感のキーワードは、「成長加速」「足場固め」「社会との調和」の3つのテーマに大別された。この時点では、それまでの成長路線を確かなものにしたいという気持ちとともに、品質問題や不祥事に対応すべく、現場における品質や内部統制・リスク管理を挙げたトップが多く、どちらかというと国内に視点が向いていた。
一方、今年(2008年)のトップのキーワードは、「危機感」「環境」「イノベーション」であった。特に、「危機感」においては、米国のサブプライム問題、原油高、円高などを引き合いに出して世界経済の中における日本、地球温暖化防止のための二酸化炭素削減についてもその業界や自社として何ができるかを意識しておくべきとの発言に変わり、世界経済を意識するようになった。
企業トップの年頭所感にみるキーワード
| 年 | キーワード |
|---|---|
| 2008年 | 「危機感」「環境」「イノベーション」 |
| 2007年 | 「成長加速」「足場固め」「社会との調和」 |
(出典)日本経済新聞調べ
トップの所感を個別にみると、キーワードを用いてメッセージを重視したタイプか、簡単な経営指標を引用しコミットメントに力点を置いたタイプかに、大きく二分される。一般的に、前者からはその経営者の理念や理想が感じられ、後者からは実直さや意気込みなどが感じられる。どの所感も投資家・消費者・融資している金融機関など受け手側の立場によって印象は異なり、どちらが良いとは言えない。
財団法人日本漢字能力検定協会が毎年、全国公募で選ばれたその年の漢字を公表しているが、昨年は「偽」であった。この選定理由は、「1.相次ぐ食品偽装問題、2.政界での多くの偽り、3.老舗での偽装発覚、4.他業界にも偽装が目立った」で、だれしも偽りのない安心できる社会を願う気持ちが反映されていた。それ以外にも、10位までに、嘘(3位)、疑(4位)、謝(5位)、変(6位)、乱(8位)と不祥事や人心の乱れや病みを反映した漢字が入った。
このような時代だからこそ、キーワードであれ数字目標であれ、明快なメッセージを発信することが重要だと思う。そして厳しい時にこそ、企業も人も真価を問われるのである。
企業も人も、どのような価値を提供できるのか見つめなおすときなのかもしれない。
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