サマリー
消費税増税後、日本の個人消費全体が伸び悩んでいる中、住宅投資は堅調である。特に貸家の建設は、首都圏や近畿圏だけでなく、その他の地域でも増えている。大幅増の背景には、相続税対策や金利低下など供給サイドの要因が専ら働いているとみられるが、首都圏の賃貸物件の成約件数が頭打ちになっているように、必ずしも需要とマッチしているとはいえない。
貸家ブームの行方に慎重にならざるを得ない一方、住宅ストックの観点からは、地方の過疎地域だけでなく、都市部でも空き家問題が顕在化している。
空き家の過半数を占める賃貸用に注目すると、その空き家率は約2割に達する。賃貸用の空き家の約3割が集まる関東大都市圏の空き家率は全般的に低いが、ここ10 年間の上昇幅は全国を上回ってきた。建築時期が不明な空き家も多く、容易に住宅として使用できる物件は限られ、実質的な空き家率は喧伝されるほど高くないかもしれない。だが、足元の貸家の超過供給の状況を踏まえると、空き家自体は今後も増えていくと予想される。地方などの空き家を改築・改装して再利用を図ることは、外国人旅行者を地方に呼び込むという目的とも合致し、有効利用の一つのアイデアといえよう。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国経済に潜む短期・中長期の下振れリスクと日本経済への影響
株安・関税政策・移民政策強化で日本のGDPは29年までに0.33%減
2025年11月25日
-
2025年10月貿易統計
トランプ関税の悪影響が継続。今後は米中リスクにも警戒が必要
2025年11月21日
-
2025年10月全国消費者物価
サービス価格や耐久消費財価格の上昇が物価上昇率を押し上げ
2025年11月21日

