日本版スチュワードシップ・コード

2014年2月28日

解説

2014年2月に金融庁「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」が公表した「『責任ある機関投資家』の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~」のこと(※1)。英国のスチュワードシップ・コード(UK Stewardship Code)を参考にして作られたため、日本ではほとんど使われることのないスチュワードシップという用語をそのまま採用している。

この日本版スチュワードシップ・コードは、日本の上場株式に投資する機関投資家が、投資先企業との対話等を行うことで企業の持続的成長を促しつつ、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図ることを目指して策定された。投資先企業の株主総会議案に対する議決権行使や、建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)を行うことなど幅広い活動が機関投資家に対して期待されている。機関投資家であっても日本の上場株式に投資を行っていないのであれば、基本的には関係のない話である。

日本版スチュワードシップ・コードは、これに賛同して参加を表明した機関投資家に対して、取組方針や実践結果の公表・報告を求めている。公表すべきとされているのは、次のような項目だ。

  • 「コードを受け入れる旨」(受入れ表明)及びスチュワードシップ責任を果たすための方針など「コードの各原則に基づく公表項目」(実施しない原則がある場合には、その理由説明を含む)を公表する
  • スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、公表する
  • スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、公表する
  • 議決権行使について、明確な方針を策定し、公表する
  • 議決権の行使結果について、議案の主な種類ごとに整理・集計して公表する
  • 議決権行使助言会社のサービスを利用する場合には、その利用状況を公表する

顧客や受益者に対しては、次のような報告を機関投資家は行うべきであるとされている。

  • 投資信託や投資顧問等資産運用者としての機関投資家は、直接の顧客に対して、スチュワードシップ責任をどのように果たしているかについて、定期的に報告を行う
  • 年金基金や保険会社等資産保有者としての機関投資家は、受益者に対して、スチュワードシップ責任を果たすための方針と、当該方針の実施状況について、少なくとも年に一度報告する

この報告に関しては、顧客・受益者に対する個別報告が事実上困難な場合などには、報告の代わりに一般に公開可能な情報を公表することも可とされている。投資信託や生命保険などのように顧客・受益者が多数である場合には、個別報告ではなく公表によることになるだろうと思われる。

英国のスチュワードシップ・コードと比較すると、スチュワードシップ活動を強化する(escalation)基準の策定に関する事項(英国版第4原則)と、集団的エンゲージメント(Collective Engagement)に関する事項(英国版第5原則)が日本版にはない反面、機関投資家内部の組織的な充実に関する事項(日本版第7原則)は、日本版に独特のものである。

図表:日本と英国のスチュワードシップ・コード

(※1)「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~の確定について 別紙4

(2014年2月28日掲載)

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