年金額の「見える化」で進める資産形成

退職後資産の全体像が把握できる仕組みと金融経済教育の視点が重要

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2024年01月22日

サマリー

◆年金額の「見える化」は、個人の資産形成への意識醸成につながる重要な取り組みである。我が国では公的、私的年金における受給見込み額や資産額を、それぞれ確認できる環境は整備されている。それらを一元的に「見える化」できれば、退職後資産の全体像をより具体的にイメージしやすい。現在、それに関連して、厚生労働省が公的年金シミュレーターと民間事業者アプリの連携を促している。個人の資産管理という点では、家計簿アプリの利用が広がっており、今後の連携強化が注目されている。

◆一方で、個人が年金額を把握する重要性を認知し、自ら能動的に行動することを促す必要もある。それには、金融経済教育を通じた働きかけが不可欠だ。海外に目を向けると、国民の退職後に向けた資産計画をサポートするため、多くの国々で様々な金融経済教育に取り組んでいる。香港やポーランドの事例からは、金融経済教育プログラムの中でアプリの活用方法や年金給付額の確認方法を実践的に学べる取り組みが参考となろう。今後は、日本でも、国家戦略として金融経済教育の強化が進められる。年金額の見える化を一つの起点とした、人々の資産形成の促進につながる取り組みに期待したい。

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