サマリー
◆年金額の「見える化」は、個人の資産形成への意識醸成につながる重要な取り組みである。我が国では公的、私的年金における受給見込み額や資産額を、それぞれ確認できる環境は整備されている。それらを一元的に「見える化」できれば、退職後資産の全体像をより具体的にイメージしやすい。現在、それに関連して、厚生労働省が公的年金シミュレーターと民間事業者アプリの連携を促している。個人の資産管理という点では、家計簿アプリの利用が広がっており、今後の連携強化が注目されている。
◆一方で、個人が年金額を把握する重要性を認知し、自ら能動的に行動することを促す必要もある。それには、金融経済教育を通じた働きかけが不可欠だ。海外に目を向けると、国民の退職後に向けた資産計画をサポートするため、多くの国々で様々な金融経済教育に取り組んでいる。香港やポーランドの事例からは、金融経済教育プログラムの中でアプリの活用方法や年金給付額の確認方法を実践的に学べる取り組みが参考となろう。今後は、日本でも、国家戦略として金融経済教育の強化が進められる。年金額の見える化を一つの起点とした、人々の資産形成の促進につながる取り組みに期待したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日