サマリー
◆2022年末、これから生まれる世代も含む全ての世代が安心できる「全世代型社会保障」を構築するための報告書を、政府の会議がとりまとめた。介護分野に関する個別の検討項目については、社会保障審議会介護保険部会で議論された。結論を見ると、地域包括ケアシステムの更なる深化・推進等で前進が見られた一方、高齢者の負担増となるような改革の検討は先送りされた。給付と負担の見直しが進まなければ、現役世代と将来世代の厳しい負担増が続くことになる。
◆高齢化が一段と進展する中でも介護保険制度の持続性を確保するには、介護サービスを効率的に提供するための情報利活用基盤の整備や、デジタル技術等の普及による現場の生産性向上が必要だ。さらに、高齢者の負担能力に応じた負担や、公平性を確保するための給付の見直しも不可欠である。社会保障給付費の中でも特に伸びが大きい介護費の増加を抑制しなければ、現役世代の将来不安は強まり、個人消費の低迷や少子化などにも影響するだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
DC自動移換者問題の解決に向けて
自動移換者を「発生させない」「増やさない」対策が求められる
2025年03月03日
-
年金積立金の平滑化メカニズムにリスクはないか?
GPIFの2024年度3Q運用実績と年金財政の動向
2025年02月19日
-
少子化対策の財源確保に向けた医療・介護の歳出改革
医療・介護費の伸びを抑制する視点がますます重要に
2025年02月10日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日