サマリー
◆2021年度から始まる第8期介護保険事業計画に向けた制度見直しの方向性が示された。レポート後編の本稿では、そのうち給付と負担の見直しに注目する。
◆「多床室の室料負担」「ケアマネジメントの関する給付の在り方」「軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方」「『現役並み所得』『一定以上所得』の判断基準」については、引き続き検討を行うことが適当とされ、議論は先送りとなった。一方、「補足給付に関する給付の在り方」「高額介護サービス費」については一部見直されることが決まったが、制度の持続可能性を高める効果は小さいといわざるを得ないだろう。
◆給付と負担の見直しが喫緊の課題であるのは、現役世代が負担する保険料が年々重くなっており、それが無視できないからである。企業にとっても、社会保険料は大きな負担となっており、賃金や雇用に悪影響を与えている懸念がある。利用者負担について応能負担の要素が拡大されることは一定の評価ができるが、世代間・世代内の不公平を解消し制度の持続性を確保するには、給付と負担について一層の見直しが必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日