次期介護保険制度改正の注目点(後編)

多くの検討事項は議論を先送り

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2019年12月30日

サマリー

◆2021年度から始まる第8期介護保険事業計画に向けた制度見直しの方向性が示された。レポート後編の本稿では、そのうち給付と負担の見直しに注目する。

◆「多床室の室料負担」「ケアマネジメントの関する給付の在り方」「軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方」「『現役並み所得』『一定以上所得』の判断基準」については、引き続き検討を行うことが適当とされ、議論は先送りとなった。一方、「補足給付に関する給付の在り方」「高額介護サービス費」については一部見直されることが決まったが、制度の持続可能性を高める効果は小さいといわざるを得ないだろう。

◆給付と負担の見直しが喫緊の課題であるのは、現役世代が負担する保険料が年々重くなっており、それが無視できないからである。企業にとっても、社会保険料は大きな負担となっており、賃金や雇用に悪影響を与えている懸念がある。利用者負担について応能負担の要素が拡大されることは一定の評価ができるが、世代間・世代内の不公平を解消し制度の持続性を確保するには、給付と負担について一層の見直しが必要だ。

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