M&A動向に見る介護ビジネスの将来性

介護保険制度の改革や海外需要の拡大が市場の活性化を後押しする

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2019年06月03日

サマリー

◆国内のM&A件数が増加している。その要因には高齢化による事業承継の増加がある。他方、グローバル化や事業の多角化を目的とした大手企業によるM&Aも目立つ。

◆そうした中、介護ビジネス分野のM&Aも徐々に増加している。介護業界のM&Aは、人手不足や後継者不足の問題の解消という売り手側のニーズと、既存事業の強化や成長産業への新規参入という買い手側のニーズが合致することで増えているとみられる。M&Aによって事業所の経営が安定すれば介護の質の向上も期待できるため、利用者にとっても望ましい。

◆介護保険制度の今後の改革によって、保険適用範囲の見直しや介護事業所の大規模化が進むとみられる。これらの方針は介護市場の成長を後押しする。また、日本の介護サービスや福祉用具、介護予防等に対する海外からの関心も高い。介護ビジネスは公的保険をベースとしたものではあるが、成長が期待できる産業であり、引き続き市場の拡大を見込んだM&Aが増加するだろう。

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