サマリー
◆2018~23年度の6年間を実施期間とする第三期医療費適正化計画がスタートした。医療費適正化計画とは、生活習慣病の予防推進などにより、増加する医療費を抑制するための計画である。本稿では、これまでの医療費適正化計画とその実績を確認するとともに、都道府県別に見た一人当たり医療費の高額な都道府県と低額な都道府県で、策定された医療費適正化計画での取組に違いがあるかなどについて検討する。
◆第一期(2008~12年度)は、目標を達成していない取組があるにもかかわらず、2012年度の医療費の実績が見通しを下回った。だが、それは2008年度時点で医療費見通しが過大だったことに起因している。適正化によって医療費の伸び率がどの程度抑制されたかを検証し、今後の取組に反映させることが、医療費適正化計画には求められる。
◆第二期(2013~17年度)の実績評価は今後公表される予定だが、これまでの各種の取組の進捗状況を踏まえると、目標は達成できなかったと考えられる。また、都道府県ごとに見られる進捗状況のばらつきが固定化されている様子もうかがえる。進捗の遅れが常態化する都道府県では、医療費の増加を合理的に抑制するための手法の見直しも必要だろう。
◆第三期では、これまで以上に幅広い取組が基本方針に盛り込まれているが、公表された各都道府県の第三期の計画を見ると、取組メニューに多少の違いはあるものの、地域ごとの課題に向き合う計画は一部にとどまり、全体的には大きな違いがない。医療費適正化計画には直ちに効果が現れない取組施策が多い。生活の質を確保・向上させつつ、医療費の適正化を図るには、生活習慣病の予防推進などの取組を着実に進めることが最低限、必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
現役世代の保険料率は引き下げられるか
サービス維持との両立には、給付と負担の改革、DX/AX推進が不可欠
2026年09月02日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
iDeCoは広がったのか-加入実態と残る課題
2026年4月加入者数395万人、12月制度改正に注目
2026年06月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

