外国人労働力は介護人材不足を解消しない

雇用環境の改善が先

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2017年04月05日

サマリー

◆介護人材不足の問題が一段と深刻化している。そうした中、政府は従来の経済連携協定(EPA)による枠組みに加え、新たに介護分野への外国人の受け入れ拡大に向けた2法案を成立させるなど、不足する介護人材を外国人労働者で補完しようとする動きを加速させている。しかし、現状の雇用環境を改善しないままで介護人材の不足を外国人労働力で補うことは、解決策となるのだろうか。


◆日本と同様に、専門資格の保有者を中心に介護人材が不足するドイツでは、東欧諸国などEU域内からの外国人労働者を介護分野に積極的に受け入れてきた。しかし、ドイツが求める専門介護士(高度な人材)の流入は限定的であるうえ、EU先進国との人材獲得競争の激化から、十分な介護人材の確保が難しくなってきている。


◆そこで、ドイツは近年、EU域外の国々と協定を結び、育成の段階から支援するほか、中長期的には永住許可申請が可能な条件を設けるなどして外国人介護労働者の確保と定着を試みている。しかし、それでも介護人材不足が解消に向かっているとは言えず、難航している様子がうかがえる。


◆日本でも不足する介護人材の補完として、外国人労働力に期待が集まっているが、雇用環境が悪いために国内で人材確保が困難な分野については、外国人労働者にとっても同様であり、中長期的な人材の確保・定着は望めないだろう。まずは日本の介護分野への就労について、国内でマイナスと捉えられている低い処遇や不十分なキャリア形成の仕組みなど、雇用環境を改善する必要があると思われる。

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