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超高齢社会における介護問題

人材・サービス不足がもたらす「地域包括ケア」の落とし穴

2014年05月09日

政策調査部 研究員 石橋 未来

サマリー

◆厚生労働省によると日常生活に制限のある「不健康な期間」の平均が、男性9.13年、女性12.68年だという(2010年時点)。今後、ますます介護のニーズは高まるだろう。


◆2014年3月下旬、特別養護老人ホーム(特養)の入所申込者数(いわゆる待機老人数)が2013年度に52.4万人と発表された。特養は費用負担が比較的軽く、認知症などが進行した場合でも退所の不安がないため、他の介護施設より入所希望が集中する。


◆介護施設の不足が目立つが、政府は積極的な特養の開設に踏み切るのではなく、「地域包括ケア」を推進し、在宅介護への転向を促している。高齢者に住み慣れた場所で最期まで自分らしく暮らしてもらうという生活面と、ボランティアやNPO、家族隣人などのインフォーマルな支援を活用することで、保険給付が高額な施設への入居者数をなるべく抑制するという財政面との、両方のメリットが期待されるためである。


◆しかし実際は、要支援・要介護認定者の大部分が、すでに在宅介護の状態にある。在宅介護の推進は、①介護人材不足、②特養など一部の施設サービスへ偏重する公的な優遇措置、などの点で利用者への負担に結びつく可能性があり、疑問が残る。


◆介護分野の人材不足や、民間が参入できない特養などの施設サービスへ偏重する公的な優遇措置などの問題を残したままでは、需要を満たす介護サービスの供給が追い付かず、家族で担う部分が増えるだろう。そうなれば、従来通り家庭内の主に女性の労働力が、今後も高齢者介護の役割として期待されてしまう懸念が残る。それは、女性の活躍を推進する現政権の方針と矛盾するようにも見える。


◆超高齢社会における介護は、サービスを強化することで乗り越えていくべきであり、質の高い介護サービスの選択肢が増えることが期待される。

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