2022年04月15日
サマリー
◆2022年4月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、「東海」「北陸」を筆頭に全地域で悪化した。
◆分野別に見ると、家計関連のインデックスは、新型コロナウイルスの感染が再拡大して人々の外出が減ったことが影響し、消費は全国的にサービス消費を中心に悪化した。前回は消費全般が強かった「四国」では総じて弱めの動きに転じており、「北陸」「東海」なども持ち直しの動きが一服している。一方、「中国」など乗用車販売で改善している地域も見られる。住宅投資では、持家でペントアップ需要や在宅勤務を受けた住環境の改善需要が一巡しており、さらに住宅ローン減税特例措置の再開を様子見する人も増加しているといった理由で、「近畿」「東海」などでやや弱めとなっている。そうした中、雇用・所得環境は「中国」で改善の動きも出るなど、家計関連は一部に明るさも見られる。企業関連では、企業マインドがほとんどの地域で悪化した。半導体などの部品供給制約が再び強まり、前回、持ち直していた「東海」「北陸」「九州・沖縄」で生産が悪化、「東海」「九州・沖縄」は輸出も悪化した。一方、「北海道」「近畿」は輸送機械を中心に生産が改善し、「中国」は自動車関連で生産・輸出共に持ち直している。設備投資は、「北海道」が非製造業でやや慎重だが、「九州・沖縄」は半導体関連を中心に、「北陸」では生産用機械などで能力増強・省力化投資が進められており、企業関連は明るい材料も多い。なお、地域経済を下支えしてきた公共投資は、復興・復旧関連工事の一巡や予算縮小などにより、「北海道」「関東甲信越」「四国」で弱い動きとなった。
◆今春にはまん延防止等重点措置が全面解除となり、3回目のワクチン接種も本格化するなど、感染症に対する人々の不安が和らぎつつある。また、ロシアのウクライナ侵攻による影響は今のところ軽微との声が多いようだ。しかし、国内外の一部で感染が再拡大していることや、政情不安等の供給制約でさらなる価格上昇の可能性もあり、経済環境は引き続き不確実性が高い状況にある。
◆今後は、家計関連でサービス消費を中心に回復していくものと考えられるが、半導体や資源の供給制約が長引く場合には、生産・輸出の下押しや価格上昇による消費の押し下げの可能性がある。一方、供給制約の解消や省力化に向けて設備投資は改善していくだろう。地域経済は緩やかな回復基調にはあるものの、当面は持ち直しの動きと供給制約による悪影響が交錯するものと考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
「九州・沖縄」「北海道」など5地域で悪化~円高などの影響で消費の勢いが弱まる
2025年7月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年07月14日
-
「中国」などで企業マインドが悪化~消費は堅調だが、先行き高まる不透明感
2025年4月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年04月09日
-
緩やかな回復基調、地域でばらつきも~消費者の節約志向や投資意欲の変化を注視
2025年1月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年01月14日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日