2021年09月07日
サマリー
◆一定期間の資金構造の変化を検証する「資金運用表」を、自治体の決算データに基づいて作成してみた。企業分析で一般的な2期分の貸借対照表から作成する方法ではなく、既存の歳入歳出データから直接作成した。すべての自治体について網羅的、かつ30年にわたって作成できるため財政分析の基本表として有効性は高い。ストック面、すなわち借入や積立金等の増減要因を時系列で検証できるのが特長だ。財政運営に用いる場合の着眼点は行政収支と純額ベース建設事業費のバランスである。
◆市区町村データで作成した資金運用表をみると、90年代は旺盛な公共投資を背景に資金不足期だったことがうかがえる。借入残高がピークを迎えた2000年代前半は財政危機に陥る自治体が少なくなかった。もっとも建設事業は既にピークアウトしており、2005年にはピーク時の4割程度となっていた。この後約10年にわたって資金余剰期となる。積立金等が積み上がったのもこの時期である。個々の自治体でみればバラツキがあり建設事業の抑制ペースが緩やかだった一部のケースは比較的苦しい。
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