サマリー
◆ここ10年にわたって市区町村の基金積立残高は増加傾向にあり、直近の水準は90年代初期のピークを上回る。ただし近年の急増については震災復興の影響が大きい。自治体のキャッシュフローと純額ベース普通建設事業費の推移から、基金の積み上がり傾向は普通建設事業費の長期的な抑制傾向と関係があると考えられる。
◆団体区分別に見ると、政令指定都市をはじめ大規模自治体は、基金の実残高が大きく、市区町村全体の基金積み上がりに対する影響が大きい。とはいえ自治体の財政規模に比べれば積立て水準がとりわけ高いというほどではなく、財政に余裕があるとは言い難い。
◆他方、町村をはじめ小規模自治体の財務状況は良好である。積立て水準は増加傾向を辿り、財政規模と比べた水準も高い。小規模自治体は住民1人当たり行政コストの水準が高いが、財政補てんが奏功してそれをさらに上回る経常収入を確保している。もっとも、積立金等の絶対水準が低いため、市区町村の基金全体に対する影響は大きくない。
◆公共インフラの老朽化等を背景に普通建設事業費が今後拡大傾向を辿り、基金の積み上がり傾向が一服し減少に転じるシナリオもあり得る。今後人口減少が確実視される中でむやみに拡大しないよう機能再編やダウンサイジング、官民連携等を検討しつつ慎重に対処してゆくべきだろう。小規模自治体については、行政サービスの効率性と持続可能性の論点もあることから、財政調整機能の再点検を含め今後の議論が待たれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ふるさと納税のポータルサイト手数料
事務費の性質からみた内製化の論点-リスクの引受と間接費の計上
2026年09月28日
-
ふるさと納税の現況
地域経済の下支えと財政健全化の効果
2026年08月26日
-
最高路線価に読む立地の収益力
大都市圏への集中と、商業拠点から観光拠点への主役交代の兆し
2026年07月23日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

