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都市と地方のこれからを考える

多様な働き方を実現するために

2016年09月23日

経済調査部 シニアエコノミスト 近藤 智也

経済調査部 主任研究員 溝端 幹雄

政策調査部 研究員 石橋 未来

経済調査部 研究員 山口 茜

サマリー

◆本稿では「都市と地方」「働き方改革」をキーワードに、現在の都市と地方が抱える課題およびその解決策について分析を行った。


◆製造業のような資本集約度の高い産業へ特化しつつある地域では東京との所得格差が縮小している。地域間の所得格差の解消には、他の産業でも資本労働比率を高めていくとともに、域外からの所得流入に結びつく競争力のある地域の基盤産業の構築、地方の人材力を高める所得分配のあり方、そして高度人材の地方での定着を図ることも重要だ。


◆雇用問題では女性や高齢者等がよく取り上げられるが、現役世代の男性就業率も低下しており、しかもそれらの地域間格差は拡大している。問題を解決するには単に労働需要を増加させるだけでは不十分で、各地域の実情にあった施策が求められる。


◆都市での介護施設不足などの解決のため、政府は都市の高齢者を地方へ移住させようとしているが、高齢者は基本的に同一都道府県内への移住が多く、さらに、他の都道府県へ移住する場合には近隣の都市、あるいは都市近辺を好んで移住している傾向がある。そのため介護施設は大都市近郊や地方都市で大幅に不足する可能性が高く、そうした地域では施設増設や質の高い在宅ケアを充実させて介護離職も予防すべきだ。


◆待機児童の対策は高コストな認可保育所向けが中心で、自治体の財源制約から整備が進んでいない。諸外国のように民間事業者の参入を促して供給量を柔軟に増やし、自治体が保育サービスの定期的なチェック等を強化するなどの仕組みが必要だ。さらに、育児休業などの両立支援制度と復職後の就業時間の選択が連携できておらず、結果的に就労を断念する場合もあり、長時間労働是正などの「働き方改革」も積極的に進めるべきだ。


◆空き家問題は地方だけでなく、近年は都市圏でも特に賃貸用の空き家が顕在化している。にもかかわらず、相続税対策や日銀によるマイナス金利導入によって地銀等の積極的な融資を通じた新規の貸家建設が増えているが、需要に見合ったものとは言い難い。一方、老朽化が進んだ空き家の増加に不安を感じる国民は多い。地方、都市圏に関係なく、使える空き家の選別を進めて、地域の事情に沿った有効活用を早急に考える必要があろう。

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