サマリー
◆被保険者の賃金が伸び悩む一方、高齢者向け医療等への拠出金の増加によって、健保組合の財政は悪化している。健康保険料率が全国健康保険協会(協会けんぽ)のそれ(10%)を超える組合の中には、解散を選択するケースもみられる。
◆団塊の世代が75歳に到達しはじめる2022年から拠出金負担が急増するため、健保財政のさらなるひっ迫が懸念されている。だが実際には、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、それよりも早く健保財政の悪化が加速するとみられる。
◆企業の業績改善が遅れ、賃金の低迷が長期化すると見込まれる宿泊・飲食サービス業などを母体する健保組合では、保険料率の引き上げが限界に近いとみられる。そもそも被保険者の賃金水準が低い業種の健保組合が持続性を確保するには、加入者向け保険事業の取り組みを充実させることが不可欠であり、保健事業の一層の推進が重要だ。
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