ポストコロナの医療提供体制を展望する

『大和総研調査季報』 2020年夏季号(Vol.39)掲載

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2020年07月21日

サマリー

本稿では、新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大によって表面化した医療提供体制の問題について整理する。

諸外国と比べて、日本は今回の感染症をある程度うまくコントロールできたようにみえる。だが、国内における対応の地域差は大きかった。今後も起こり得る有事に対処できるようにすることにとどまらず、将来の平時における医療ニーズの変化にもマッチした医療提供体制を確立するには、地域医療構想の推進が必要だ。

また今回の感染拡大では、オンライン診療など新たなテクノロジーの活用が前進した。ポストコロナの社会でそれを一般化させるには、先行している諸外国の状況を参考としつつ、ハードルとなっている医療上の安全性や有効性といった課題へ対処するためのエビデンスの蓄積が必要である。

オンライン診療等の新技術は、今後対策が必要な医師の偏在や働き方改革にもプラスに作用すると考えられる。ただ、日本ではカギを握るEHR等のデータヘルスの基盤整備が道半ばである。新型コロナウイルス感染症の拡大を機に改革を加速できるか、われわれは試されている。

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