2020年03月05日
サマリー
◆零細・中小規模の事業者が多い介護分野はICTの活用による業務効率化が遅れているが、近年ヘルスケアリートによる投資によって、オペレーター(介護事業者)にICTが導入される事例が見られる。介護事業者は初期投資の資金を調達する必要がなく、ICTのコストを平準化できることに加え、事業の生産性向上が見込める。
◆オペレーターの費用低減につながるグリーンリースを実施するヘルスケアリートも現れている。例えば、ヘルスケアリートが老人ホーム建物内の照明をLED化することによる電気使用料と管球交換費用の負担低減分の一定割合が、グリーンリース料として介護事業者からヘルスケアリートに支払われる仕組みだ。
◆資金調達力の弱い介護事業者の設備投資をヘルスケアリートが後押しすることで、介護事業者が効率的な経営を実現できるようになることは、賃料収入の安定化やESGの観点で企業価値を高めるなど、リートにとっても利点が多い。
◆資金使途を環境や社会に配慮した事業に限定した融資が注目される中、ヘルスケア施設の購入に際してソーシャルローンを活用するヘルスケアリートも見られる。投資対象としてヘルスケア施設の認知度が高まれば、介護の供給不足問題へのソリューションの一つになる可能性があり、国内リート市場の多様化と拡大も期待できよう。
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