認知症を支える日常的な金銭管理のニーズ

期待される金融機関が主導する包括的なサービスの普及

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2020年02月25日

サマリー

◆介護を必要とする高齢者が地域で長く暮らし続けるためには、介護保険サービスと、様々な保険外サービスとを組み合わせて利用する必要がある。特に認知症有病者の場合、金銭管理に関する支援が必要になるケースが多いが、現在は介護支援専門員(ケアマネージャー)の勧めで日常生活自立支援事業等を利用する人が一定程度いる。

◆日常生活自立支援事業は、判断能力が低下した人の地域での暮らしを支える事業だが、金銭管理についても支援範囲としており、利用者には認知症高齢者が多い。しかし、高いニーズに対して、専門員の体制不足が課題である。

◆そこで、生活全般への支援サービスに民間の参入が期待されるが、認知症サポーターの養成に積極的に取り組んできた金融機関は、金銭管理について専門性を活かすことができるのではないか。特に、家族のいない単独高齢者世帯割合が高いと見込まれる都市部で、その機会が広がっていくだろう。

◆ただし、複数の主体が連携した総合的・複合的なサービスは、責任の所在が不明確となる恐れがある。高齢者が安全に、かつ安心してサービスを利用できるよう、事業者あるいはサービスが満たすべき要件を定め、これを満たす事業者やサービスを認証する仕組みを構築することが望まれるだろう。

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