サマリー
◆介護を必要とする高齢者が地域で長く暮らし続けるためには、介護保険サービスと、様々な保険外サービスとを組み合わせて利用する必要がある。特に認知症有病者の場合、金銭管理に関する支援が必要になるケースが多いが、現在は介護支援専門員(ケアマネージャー)の勧めで日常生活自立支援事業等を利用する人が一定程度いる。
◆日常生活自立支援事業は、判断能力が低下した人の地域での暮らしを支える事業だが、金銭管理についても支援範囲としており、利用者には認知症高齢者が多い。しかし、高いニーズに対して、専門員の体制不足が課題である。
◆そこで、生活全般への支援サービスに民間の参入が期待されるが、認知症サポーターの養成に積極的に取り組んできた金融機関は、金銭管理について専門性を活かすことができるのではないか。特に、家族のいない単独高齢者世帯割合が高いと見込まれる都市部で、その機会が広がっていくだろう。
◆ただし、複数の主体が連携した総合的・複合的なサービスは、責任の所在が不明確となる恐れがある。高齢者が安全に、かつ安心してサービスを利用できるよう、事業者あるいはサービスが満たすべき要件を定め、これを満たす事業者やサービスを認証する仕組みを構築することが望まれるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
大介護時代における企業の両立支援
〜人的資本のテーマは「介護」にシフト〜『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
-
2025年度の健康経営の注目点
ISO 25554の発行を受け、PDCAの実施が一段と重視される
2024年12月24日
-
健康経営で高評価を得るポイント
政策の方向性を踏まえた対応と、データ活用による効果検証が必要
2024年09月20日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日