サマリー
2019 年は、国連にて各国のSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みが世界的に評価される最初の年となる。そこで本稿では、その目標の一つである日本の子どもの貧困削減を取り上げてその実態をデータで「見える化」し、それが見えにくい理由や子どもの貧困を減らすには何をすべきなのかを考える。
日本の子どもの貧困の特徴は、大人が1人の世帯で貧困率が高いことだ。夫は無期雇用の正社員、妻は専業主婦という日本の雇用・社会システムの前提における歪みが、子どもの貧困という形で顕在化しつつある。一方、子どもの貧困が見えにくい理由は、貧困が相対概念で定義されること、現代では子どもの持ち物には差がなく、サービス消費で差が生じていることがある。
さらに子どもの貧困は、能力(認知・非認知)面や健康面を通じて、将来の人的資本の劣化を招来しやすい。見た目では分かりにくい子どもの貧困問題は、生産性を高めていくべき日本において隠れた大きなリスクである。
子どもの貧困を減らすには、政府による社会保障での対応だけでなく、貧困世帯への行政からの積極的な支援(アウトリーチ)や、SDGsの視点から雇用面での取り組み、民間資金の積極的な活用なども重要である。
大和総研リサーチ本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日