忍び寄る「子どもの貧困」が日本の潜在力を奪う

『大和総研調査季報』 2019 年新春号(Vol.33)掲載

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2019年01月09日

サマリー

2019 年は、国連にて各国のSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みが世界的に評価される最初の年となる。そこで本稿では、その目標の一つである日本の子どもの貧困削減を取り上げてその実態をデータで「見える化」し、それが見えにくい理由や子どもの貧困を減らすには何をすべきなのかを考える。

日本の子どもの貧困の特徴は、大人が1人の世帯で貧困率が高いことだ。夫は無期雇用の正社員、妻は専業主婦という日本の雇用・社会システムの前提における歪みが、子どもの貧困という形で顕在化しつつある。一方、子どもの貧困が見えにくい理由は、貧困が相対概念で定義されること、現代では子どもの持ち物には差がなく、サービス消費で差が生じていることがある。

さらに子どもの貧困は、能力(認知・非認知)面や健康面を通じて、将来の人的資本の劣化を招来しやすい。見た目では分かりにくい子どもの貧困問題は、生産性を高めていくべき日本において隠れた大きなリスクである。

子どもの貧困を減らすには、政府による社会保障での対応だけでなく、貧困世帯への行政からの積極的な支援(アウトリーチ)や、SDGsの視点から雇用面での取り組み、民間資金の積極的な活用なども重要である。

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