サマリー
◆政府は、2025年度に国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化を財政健全化目標として掲げている。政府予算案などに基づくと、2025年度の国のPBは名目GDP比で▲0.8%程度とみられる。一方、地方の普通会計(地方公共団体の一般会計と特別会計のうち、一般行政活動に係るものを1つの会計で経理されたとみなして整理したもの)や地方財政対策からは、地方の2025年度のPBは同+0.8~0.9%程度と推計される。
◆しかし、2024年度に策定された経済対策・補正予算の執行に伴い歳出が拡大し、これによって2025年度のPBは悪化する。結果として、2025年度の国と地方のPBは名目GDP比で1.0~2.3%程度の赤字となり、政府の財政健全化目標は達成されないだろう。
◆加えて、「103万円の壁」に関連する基礎控除等のさらなる引き上げや、ガソリン税の暫定税率の撤廃、2025年度の大規模補正予算編成など、PB赤字がさらに膨らむ可能性がある。近年は税収増が続いているが、それのみで財政健全化目標は達成できない。PB黒字を定着させるのであれば、必要性の低い大型減税を実施することには慎重であるべきで、常態化した大規模補正予算編成からの脱却が不可欠だ。
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