サマリー
◆国・地方のプライマリーバランス(PB)は2025年度で対GDP比▲3.0%、公債等残高対GDP比は上昇が続く見込みである。内閣府「中長期の経済財政に関する試算」で示された高成長シナリオを実現し、現在検討されている社会保障改革を進めれば2025年度のPB黒字化は可能だが、その蓋然性は低い。
◆こうした財政見通しに基づけば、歳出・歳入改革に軸足を置いて社会保障制度と財政の持続性確保に取り組んでいく必要がある。生産性年齢人口が今後50年で約4割減少すると見込まれていることや、現役世代や企業の保険料負担が既に相当に重くなっていることを踏まえると、消費税率はいずれ10%超に引き上げざるを得ないだろう。
◆全世代型社会保障検討会議の中間報告では、労働・年金・医療分野を中心に改革の具体的な方向性が示された。また、現役世代の負担上昇を抑えながら、全世代が安心できる社会保障制度を構築する必要性が指摘されている。だが、将来の給付と負担の姿を見通すことができなければ、全世代の将来不安は払拭されないだろう。目指すべき自助・共助・公助のバランスや、そのために必要な改革の規模などについて議論を進めるべきだ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年度のPBはGDP比1~2%程度の赤字?
減税や大型補正予算編成で3%台に赤字が拡大する可能性も
2025年01月15日
-
2025年度のPB黒字化目標は当面維持されるも、いずれ先送りの可能性
内閣府中長期試算(2021年7月)の検討
2021年07月28日
-
成長実現ケースでは2026年度にPB黒字化
内閣府中長期試算(2019年1月)で示された見通しの検討
2019年02月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日