サマリー
◆本稿では、経済の好循環を阻む将来不安や政策の不確実性の中身について確認した上で、OECD諸国の長期データを用いて、政府債務残高対GDP比の削減が1人当たり実質GDP成長率に与える影響を試算した。
◆家計や企業に尋ねたアンケート結果から、人々の将来不安や不確実性を取り除くには、特に財政再建が必要である。
◆OECD30ヶ国の長期パネルデータから政府債務残高対GDP比が1人当たり実質GDP成長率に与える影響を試算すると、政府債務残高対GDP比が104%を超えると成長率にマイナスの影響を与えるという結果が得られた。これは、日本の場合、政府債務残高比の削減がマクロ経済には中長期的にプラスに働く可能性を示唆している。
◆財政再建には、消費税率引き上げのような歳入改革に加えて、社会保障制度の歳出改革や財政状況をモニターする中立的な財政機関の設置も必要だ。その際、高齢者雇用の促進や健康維持への強い動機付けを持たせるなど、財政再建と整合的な経済・社会制度を構築できるか否かも、財政再建の成否のポイントとなる。
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