サマリー
◆経済・財政一体改革では、改革工程表に盛り込まれた全44項目の検討事項について歳出改革が進められている。このうち38項目は医療・介護分野であり、提供体制の効率化や給付の適正化・重点化、健康増進・疾病予防等へのインセンティブの強化、負担能力に応じた公平な負担など幅広く検討・実施されている。
◆国の社会保障関係費は、2016~18年度で1.5兆円程度の増加にとどめるという「目安」に沿って予算編成が行われた。しかし中身を見ると、所得の高い保険者への国庫負担の付け替えや通常の薬価改定に大きく依存する形で歳出が抑制されており、「目安」に収まる範囲だけで歳出改革が行われたという印象を受ける。
◆様々な改革が進められているが、その多くは緒に就いたばかりである。時間の経過とともに改革の効果が現れ、医療・介護費の地域差が縮減したり伸びが抑制されたりする可能性はある。ただ、それらは不確実性が大きく、確度を持って期待することはできない。
◆実効性の高い財政健全化計画を策定するのであれば、給付の適正化・重点化や、年齢でなく負担能力に応じた負担の徹底など、直接的に成果を上げられる施策を大胆に進めるべきだ。2019年度以降も社会保障関係費に「目安」を設ける必要があるが、「目安」に収めるために数字合わせの改革に陥ることは避けなければならない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
財政安定化の条件:ドーマー条件成立だけでなく、PB黒字化が重要
財政シリーズレポート4
2026年03月13日
-
国・地方のPBは2026年度に均衡する?
補正予算編成でPB赤字の公算大
2026年01月14日
-
財政政策と金融政策の境界線 -金融政策の進化と副作用としての中央銀行の独立性の危機
財政シリーズレポート3
2025年12月15日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
-
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
-
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

