サマリー
◆令和2年度税制改正に伴い、所得税法等の一部を改正する法律が2020年3月27日に成立し、オープンイノベーション促進税制と5G導入促進税制が新設されることとなった。
◆オープンイノベーション促進税制は、国内の事業会社等が、創業10年未満・非上場のベンチャー企業の株式を1億円以上の出資の払込みにより取得した場合、その株式の取得価額の25%の所得控除を認めるという制度である。
◆5G(第5世代移動通信システム)は、IoT時代の基幹インフラといえる。ローカル5Gは、場所を限定して特定の用途に5Gを活用する仕組みであり、地域課題解決への活用が期待される。どちらも既に一部で運用が開始されている。今般の新型コロナウイルス感染拡大のように、今後、自宅で仕事や余暇を過ごすことを余儀なくされた場合、5Gを用いることで、人々の生活の質の向上に貢献できると思われる。
◆5G導入促進税制は、全国5G基地局の前倒し整備と、ローカル5Gへの投資について、取得価額の15%の税額控除または30%の特別償却ができる措置である。税額控除15%は、これまでの設備投資減税と比べても最高レベルの控除率であり、税額控除が適用できない赤字法人等を除けば税額控除を選択する企業がほとんどになると思われる。ただし、2020年度については、新型コロナウイルス感染拡大を受け、赤字法人が出てくると考えられる。そのため、補助金活用を含めた柔軟な対応が必要になると思われる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
道府県民税利子割への清算制度導入を提言
令和8年度税制改正での実現は不透明な情勢
2025年08月13日
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
-
「103万円の壁」与党修正案の家計とマクロ経済への影響試算(第5版)
所得税の課税最低限を160万円まで引き上げる与党修正案を分析
2025年03月19日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日