公募投信・二重課税調整制度導入の影響解説(法人編)

公募投信を通じた外国投資を行う法人は、当期純利益の上乗せ要因に

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2019年08月02日

サマリー

◆2018年度税制改正により、2020年1月1日以後に支払われる配当等から、公募投資信託などを通じて外国資産に投資した場合についても国内と海外の二重課税調整の対象とする改正が行われ、2019年度税制改正により具体的な控除額の計算規定が整備された。本レポートでは法人における投資信託の二重課税調整の制度解説を行う。

◆新制度では、法人が公募投資信託からの分配金を受け取る際に、当該法人が公募投資信託を通じて負担した外国税相当額が算出され、「分配時調整外国税相当額控除」として法人税等から控除できるようになる。このため、改正前と比べて、公募投資信託を保有する法人は改正前より税負担が減り、当期純利益の押し上げ要因となる。

◆外国株式や外国REITのみに投資する公募投資信託は、一般的に、年率0.1%~0.9%程度の外国税を負担していると考えられる。しかし、公募投資信託が負担する外国税額の全てが控除対象になるわけではない。このため、税引前のパフォーマンスや分配金の支払額が全く同じ公募投資信託でも、制度改正による当期純利益の押し上げ効果には差が生じる可能性が考えられる。

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