サマリー
◆成案では、2010年代半ばまでに消費税率(国・地方計)を段階的に10%まで引上げるものとしているが、「経済状況の好転」を条件とされており、引き上げの時期は明確化されていない。
◆他方、社会保障改革による社会保障機能の強化については2015年までに、(高齢化による社会保障費の自然増を除き)2.7兆円を増加させるものとしている。社会保障機能強化については2015年という明確な時期の指定がある一方、消費税の増税は非常に高いハードルが設定されており、増税(財源)なき給付の拡大によるさらなる財政悪化も懸念される。
◆さらに、社会保障機能強化にかかる費用の2.7兆円についても、機能強化にかかる3.8兆円から抑制による削減額1.2兆円を差し引いた額とされるが、成案に示された具体的な改正案を足し上げた金額は(四捨五入等の影響を勘案しても)これと一致しない。給付抑制策が十分に行われないこと、社会保障機能強化にかかる費用がさらに拡大することが懸念される。
◆少なくとも、消費税率の引上げができなければ社会保障の機能強化も行わないようにし、かつ、消費税率引上げ時にはその大部分を財政健全化に資する形とすることが必要である。政府・与党には消費税率引上げ時期の明確化と、具体的な社会保障給付の抑制策の決定が求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
2012~2025年の家計実質可処分所得の推計
名目賃金増で各年代とも実質可処分所得が増加トレンド入りか
2026年06月15日
-
2027年1月開始 「こどもNISA」の概要
中学生以降は教育費・生活費目的の非課税払出しが可能
2026年05月26日
-
一定の貸付用不動産を時価評価に
2026年度税制改正大綱解説(4)貸付用不動産の財産評価
2026年03月27日
最新のレポート・コラム
-
資金循環統計からみる家計金融資産の現状
2026年3月末の金融資産は2,386兆円に。現預金比率は47%に低下
2026年06月26日
-
日本での実質株主確認制度導入に向けた議論
会社法中間試案では2つの制度の導入を検討
2026年06月26日
-
米国:AI活用は続くが、「選別」も本格化へ
「選別」は過剰投資を抑制も、信用リスク・資産価格への波及に注意
2026年06月25日
-
熊谷亮丸の経済・金融 Foresight 高市政権の成長戦略、骨太の方針で実質賃金は本当に増加するのか?
①時間あたり労働生産性の引き上げ、②1人あたり労働時間の増加、の2点が1人あたり実質賃金の増加に向けたカギ
2026年06月25日
-
「形式的・機械的な議決権行使」批判について考える
2026年06月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
-
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
-
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

