トービン税(金融取引税)とは何か

様々な目的で導入が検討されている

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2009年11月13日

サマリー

◆2009年11月7日、ブラウン英首相は、国際的な金融機関の破綻に備える仕組みとしてG20財務相・中央銀行総裁会議において、金融取引税の導入を検討するよう提唱した。

◆トービン税(金融取引税、通貨取引税などと呼ばれることもある)は、国際的な通貨の取引に対して低率の税をかける仕組みであり、米国の経済学者ジェームズ・トービン氏が考案した仕組みである。トービン氏の考案では、トービン税の目的は「民間金融資本の国際的可動性を減少させることで、為替相場を安定させ、それゆえ各国経済政策に自律性を取り戻す」ことであった。

◆その後、経済状況の変動や各方面からの議論を経て、現在では(1)金融危機対策の費用を賄う目的、(2)通貨に対する過剰な投機によって引き起こされる通貨危機を防ぐ目的、(3)発展途上国などの発展支援の財源を賄う目的、など様々な観点から導入に向けた提案がされている。

◆なお、2009年10月20日からブラジルにて復活した「金融取引税」は、自国(ブラジル)に対する過度な資本流入を防ぐ目的で導入されているものであり、一般的にいわれる「トービン税」とは異なる概念の税である。

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