企業の英文開示、どこまで求められる?

決算短信、IR説明会資料の次は有価証券報告書の英文開示か

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サマリー

◆2021年6月にコーポレートガバナンス・コード(CGコード)が改訂され、プライム市場上場会社は、海外投資家のニーズに応えられるような英文開示を行っていくことが求められている。本稿ではわが国の上場会社の英文開示の現状と海外投資家のニーズを比較して今後必要と考えられる英文開示について考察する。

◆ほとんどのスタンダード市場、グロース市場上場予定会社は株主総会招集通知や有価証券報告書を含め、各書類の英文開示は行っていない。一方、プライム市場上場予定会社は、決算短信、株主総会招集通知について約7割の会社が英文開示を実施・予定しており、IR説明会資料も約6割の会社が英文開示を行っている。しかし、事業報告や、CG報告書、有価証券報告書についてはまだ英文開示が進んでいないようだ。

◆海外機関投資家等の多くは、わが国の上場会社の英文開示状況は改善していると考えているが、現状に満足しているわけではなく、開示の量が不十分、開示のタイミングが遅い、日本語の開示と英文開示の表現に差異がある可能性があるといった理由で、不満を抱えている者が多い。

◆海外機関投資家等は決算短信、IR説明会資料の英文開示を特に重視している。これらに続いて、アニュアルレポート、有価証券報告書の英文開示を優先すべきと考えている。そのため、既に決算短信やIR説明会資料の英文開示を行っているプライム市場上場予定会社などは、特に投資判断や議決権行使に重要な情報から順に有価証券報告書の英文開示に取り組んでいくことが期待される。

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