2021年03月18日
サマリー
◆2020年の米国における新規株式公開(IPO)は記録的なブームとなり、とりわけ特別目的買収会社(SPAC)のIPOが急増しIPO全体の50%以上を占めた。2019年以前の過去10年間のSPACによる資金調達額・件数の合計を超える規模となり、引き続き2021年もSPACのIPOは急増している。
◆SPACは、IPOを通じて資金を調達し、その資金で後に非上場企業を合併することを目的としている。
◆SPACを通じて上場する被合併企業のメリットとしては、通常のIPOと異なり、被合併企業とSPACとの交渉で1株あたりの価格が決定されるため、確実性のある価格で公開できる点が挙げられる。また、SPACに投資する投資家のメリットとして、魅力的な合併対象企業を発掘・交渉し、合併後の企業価値向上を支援するSPAC経営者(スポンサー)の手腕に賭けることができる点が挙げられる。
◆一方、スポンサーが、一定期間内に合併を完了させるプレッシャーや報酬を得る動機から、投資家に不利な条件で合併を完了させるインセンティブを持つ可能性があるなど、スポンサーとSPAC株主の経済的利益が異なり、利益相反の可能性があることも指摘される。
◆SPACの増大に伴いSECも警戒を強めており、今後は投資者保護の観点から開示等を含めた規制強化も検討される可能性があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
企業価値担保権付き融資の引当等の考え方
将来情報・定性情報を適切に債務者区分・格付に反映
2025年09月01日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
令和6年金商法等改正法 公開買付制度の改正内容の詳細
30%ルール適用除外となる僅少買付け等は0.5%未満の買付け等に
2025年07月15日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日