2019年09月24日
サマリー
◆2019年5月23日に米国下院議会は、401(k)プランなどの企業年金や個人退職勘定(IRA:Individual Retirement Account)などの税制優遇措置を伴う退職貯蓄制度の拡充を目的とした“Setting Every Community Up for Retirement Enhancement Act”(SECURE法案)を超党派で可決した。
◆米国では高齢化が進む一方、多くの米国人が退職後に安定した生活を送るための資金を十分に確保できない恐れがある旨指摘されており(「リタイアメント・インカム・クライシス」)、退職貯蓄制度の改革が課題とされてきた。
◆SECURE法案では、401(k)プランやIRAからの資金引出し開始義務年齢の引上げ、複数企業年金制度(Multiple Employer Plans)の要件緩和、パートタイム従業員の401(k)プランへの参加拡大、出産等の際の中途引出しを可能にすることなど、退職貯蓄制度の使い勝手を良くしようとする改革が多岐にわたり盛り込まれている。
◆日米で退職貯蓄制度は異なるものの、退職後の生活資金を確保するためのより良い制度の必要性は共通しているといえ、米国での改革がどのように進展し、人々に「安心」をもたらそうとしているのか、その行方に注目する必要があるだろう。
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