2019年02月07日
サマリー
◆近年、米国では高齢者の金融資産搾取の問題が深刻化している。連邦議会、州議会、自主規制機関などは、金融機関に対する規制を制定することにより、高齢者の金融資産の保護を目指している。
◆例えば、2018年2月に証券業界の自主規制機関であるFINRAは、金融資産の搾取から高齢者を保護するため、①ブローカー・ディーラーが、顧客の金融資産の搾取があったと合理的に確信した場合に、当該顧客口座からの資金などの払出しを一時的に留保することができるとする規則や、②ブローカー・ディーラーに対し、顧客口座について、信頼できる連絡先の名前やその他情報を入手するための合理的な努力を求める規則を設けた。
◆連邦レベルでは、2018年5月に成立した「経済成長、規制緩和および消費者保護法」に、65歳以上の高齢者の金融資産の搾取が疑われた場合、金融機関とその従業員は、当局にその旨を報告することを強く促す規定が盛り込まれた。
◆発見されにくい高齢者の金融資産の搾取の問題に関して、家族よりも早く気付くことがある金融機関にその対応を求める米国での取組みは、米国より高齢化が進んでいる日本の金融業界や金融機関にも参考になるものと思われる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
日本版スチュワードシップ・コード改訂
5年ぶりの改訂の目的は協働エンゲージメント推進と実質株主把握
2025年06月27日
-
株主優待設計の際に考慮すべき法的論点
配当とみなされないようにした上で、株主平等原則に配慮した設計を
2025年06月17日
-
英国スチュワードシップ・コードの簡素化
機関投資家のコード対応における負担を軽減、開示事項の削減
2025年06月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日