2016年09月01日
サマリー
いわゆる“FinTech”と呼ばれる金融技術革新について、各国当局・中央銀行が高い関心を寄せている。自国の金融業の発展の観点からは、FinTechのもたらす金融イノベーションを促進する必要がある一方、マネー・ローンダリングなど規制上の問題も浮上している。わが国では、仮想通貨交換所の破綻事案を受け、利用者保護の枠組みの整備も重要な課題となっている。
そのような中、2016年5月、銀行等による金融関連IT企業等への出資の容易化(銀行法)や、仮想通貨交換業に係る制度整備(資金決済法)などを盛り込んだ銀行法等改正法が成立した。今後、実施に向けて、細則を定める政令・府令・ガイドラインなどの整備が進められるものと思われる。
銀行法等改正法は、FinTechを巡る制度整備の重要な一歩となるだろう。しかし、これで必要な制度が全て整うわけではない。むしろ、AIの活用や業務のアンバンドリング化など、FinTechに関連した規制上の取り組みを巡る議論は、これから本格化すると考えるべきだろう。その際には、変えてはならないもの(規制の目的・趣旨・精神)と、変わるべきもの(実現するための手段・手法・手続き)を整理して議論する必要があると考えられる。
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