バーゼルⅢへの対応状況(2013年末時点)

モニタリング結果の公表(第6回):内部留保の積立でクリア可能か

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2014年9月11日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、「バーゼルⅢモニタリングレポート」を公表している。


◆今回のモニタリングの対象となった銀行(金融機関)は、全部で227である。


◆普通株式等Tier 1(CET 1)比率に関しては、グループ1(Tier 1資本30億ユーロ超の国際的に活動する銀行(金融機関))の99%が最低所要水準(4.5%)を、98%が最低所要水準と資本保全バッファーの合計(7.0%)をクリアしている。同じくグループ2(その他すべての銀行(金融機関))では、CET 1比率につき、98%が最低所要水準(4.5%)を、90%が最低所要水準と資本保全バッファーの合計(7.0%)をクリアしている。


◆グループ1及びグループ2の銀行(金融機関)におけるリスク・アセット(自己資本比率計算における分母)は、バーゼルⅢを適用することにより、それぞれ(バーゼルⅡベースと比して)8.3%、6.5%の増加が見られている。グループ1における最大の変動要因はトレーディング勘定の見直し(バーゼル2.5)であり、リスク・アセットを3.1%増加させるという結果が出ている。


◆レバレッジ比率に目を移すと、前回のモニタリング(2013年6月末時点)で、それまで増加し続けてきたエクスポージャー額(レバレッジ比率の分母)が減少しており、いわゆるデレバレッジの兆しが見られた。そして、この兆しは、今回のモニタリング(2013年末時点)でも引き続き確認されている。


◆BCBSによると、モニタリング対象となった銀行(金融機関)の8.8%(約19行)が、最低所要水準(Tier 1)と資本保全バッファーの合計(8.5%)にG-SIBsサーチャージを上乗せしたTier 1比率をクリアするための資本調達をしたとしても、レバレッジ比率3%をクリアできないとされている。そのため、デレバレッジとまではいかなくとも、エクスポージャー額(レバレッジ比率の分母)の増加を抑制するというトレンドが次回のモニタリング(2014年6月末時点)まで継続する可能性も考えられる。

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