2014年07月28日
サマリー
◆2014年7月3日、金融庁は、金融商品取引業者等に対して、一定の非清算店頭デリバティブ取引について、証拠金の預託を受けるなどの所定の措置を講じていないと認められる状況を禁止する旨の新規制の導入案(証拠金規制案)を公表している(コメント提出期限は2014年8月4日)。
◆証拠金規制案は、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)と証券監督者国際機構(IOSCO)が2013年9月に公表した、「中央清算されないデリバティブ取引に係る証拠金規制」の最終枠組み(BCBS/IOSCO合意)を、わが国の法律等に落とし込むものである。
◆証拠金規制案の内容は、「非清算店頭デリバティブ取引」(中央清算機関を通じた決済がされない店頭デリバティブ取引)について、①時価変動相当額を変動証拠金として受領する義務、②標準表又は社内開発した内部モデルにより計算した取引に係る最大予想損失額を当初証拠金として受領する義務を課すというものである。
◆もっとも、当初証拠金に係る証拠金規制案の対象からは、現物決済型の外為フォワード及びスワップ、及び通貨スワップの元本交換に付随する現物決済型の外為取引が除外される。
◆証拠金規制案の対象となる主体は、「金融商品取引業者等」 である。ただし、証拠金規制案は、取引の当事者の一方が「金融商品取引業者等」でない場合には、適用されない。また、信託勘定で経理される取引や、同一グループ内の企業間取引、一定のクロスボーダー取引についても適用されない。さらに、当初証拠金に係る証拠金規制案については、取引の当事者の一方又は双方における非清算店頭デリバティブ取引の想定元本額(連結ベース)が1兆1,000億円(月平均)を下回る場合には、適用されない。
◆変動証拠金の授受は、2015年12月1日から実施される予定である。当初証拠金の授受は、非清算店頭デリバティブ取引の想定元本額の規模に応じて、2015年12月1日から2019年12月1日にかけて段階的に実施される予定である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日