2013年05月24日
サマリー
◆2013年3月8日、金融庁は、金融機関の自己資本比率規制に関して、国内基準行を対象として、「第1の柱」(最低所要自己資本比率)に係る告示の一部改正(改正告示)を公表している。改正告示は、いうなれば、「国内基準行向けバーゼルⅢ」であり、(国際統一基準行から1年遅れて、)2014年3月31日(適用日)から適用される。
◆改正告示は、最低自己資本比率については、従来の4%を維持している(ただし、内部格付手法採用行については、当該銀行を国際統一基準行とみなし、普通3株式等Tier1比率4.5%以上を維持することが求められる)。
◆しかし、改正告示は、「コア資本」という概念を導入したうえで、調整・控除項目を厳格化することにより、自己資本の質の向上を図っている。
◆コア資本の基礎項目(プラス項目)については、現在算入が認められている非累積的永久優先株や劣後債の算入が認められなくなる。調整項目(マイナス項目)については、国際統一基準行(バーゼルⅢ)と同一の枠組みのダブル・ギアリング規制が適用される。
◆自己資本比率の分母については、国際統一基準行(バーゼルⅢ)と同様に、CVAリスク相当額(÷8%)の加算や中央清算機関(CCP)向けエクスポージャーの見直しが適用される。
◆普通株式等出資を除く金融機関等の資本調達手段に対するエクスポージャーに係るリスク・ウェイトは、従来の100%から250%に引き上げられる。もっとも、経過措置により、当該エクスポージャーのうち適用日において保有するものについては、5年間に亘ってリスク・ウェイトが段階的に引き上げられる(100%→150%→200%)。また、当該エクスポージャーのうち、適用日前に銀行等が発行した非累積的永久優先株(適格旧非累積的永久優先株)や劣後債等のリスク・ウェイトについては、2029年3月30日までの間、(本則の250%ではなく、)100%とする。なお、同じく経過措置により、適格旧非累積的永久優先株は、2020年3月30日までは、全額を基礎項目に算入できる。
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