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流動性カバレッジ比率(バーゼルⅢ)

適格流動資産の範囲拡大、2015年からの段階的実施等の変更あり

金融調査部 主任研究員 鈴木 利光

サマリー

◆2013年1月7日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、バーゼルⅢの流動性規制、流動性カバレッジ比率(LCR)の改訂版(改訂テキスト)を公表している。


◆LCRとは、「適格流動資産」を「30日間のストレス期間に必要となる流動性」で除することによって得た割合を指す。BCBSは、2010年12月に公表した「バーゼルⅢ」にて、新たにLCRをバーゼル規制(国際的な銀行の自己資本比率規制に関するガイドライン)に加えている。


◆改訂テキストは、2010年12月公表のLCRテキスト(ドラフト)のアップデート版であり、一部の要件の緩和や明確化が施されている。


◆ドラフトからの主な変更点は、①適格流動資産の範囲の拡大(信用格付BBB-以上の非金融社債、株式指数構成銘柄である非金融法人の上場株式、信用格付AA-以上のRMBSを新たに算入)、②一定の資金流出項目の掛け目の緩和(例えば、事業法人等からの無担保ホールセール調達の流出率を、従来の75%から40%に緩和)、③2015年から2019年の段階的実施の導入(従来は2015年から完全実施)、の3点である。


◆今回の改訂の目玉は、RMBSを適格流動資産に組み入れることの許容だろう。これを「証券化商品の帰還」と表現できるかもしれない。しかし、報道によると、米国にて発行されているRMBSの多くは、今回の改訂の恩恵を受けることができないという。


◆というのは、改訂テキストは、適格流動資産に組み入れることができるRMBSを、完全償還請求権付(フル・リコース)のものに限定しているが、米国のRMBSの多くはこの要件を満たさないためである。こうしたフル・リコース要件は、欧州の多くの国におけるRMBSをも適格流動資産から除外することになるという。


◆BCBS加盟国が改訂テキストを自国の法規に落とし込む際に、こうしたフル・リコース要件をそのまま受け入れるか否かについては、注視する必要があるだろう。

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