2012年01月12日
サマリー
◆2012年1月8日、バーゼル銀行監督委員会の上位機関である中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループが会合を行い、流動性カバレッジ比率規制をストレス時に緩和することを容認する一方、その導入時期は当初予定通り2015年からとすることが合意された。
◆流動性カバレッジ比率規制は、金融危機の反省を踏まえて合意されたバーゼルⅢの一部であり、銀行に高品質の流動性(「適格流動資産」)の確保を求めるもの。銀行の中には、少なくとも現時点ではこの規制を遵守することが厳しいところもあり、規制を緩和するよう規制当局に働きかけを行っている模様である。そのような中で、導入時期を予定通り2015年とする旨公表したことの意義は小さくない。
◆流動性カバレッジ比率規制の内容は2012年末までに完成する予定であり、今後注目される点は、民間銀行の規制緩和の意向を踏まえ、現段階で現金や国債などに限定されている「適格流動資産」を株式や社債一般などにまで拡大するか否かである。また、最近の欧州債務問題で明らかになったように、全ての国債が必ずしも安全で流動性が高いとはいえない状況になっているため、「適格流動資産」と認められる国債が限定される可能性も考えられる。
◆流動性カバレッジ比率規制は、金融危機の反省を踏まえて合意されたバーゼルⅢの一部であり、銀行に高品質の流動性(「適格流動資産」)の確保を求めるもの。銀行の中には、少なくとも現時点ではこの規制を遵守することが厳しいところもあり、規制を緩和するよう規制当局に働きかけを行っている模様である。そのような中で、導入時期を予定通り2015年とする旨公表したことの意義は小さくない。
◆流動性カバレッジ比率規制の内容は2012年末までに完成する予定であり、今後注目される点は、民間銀行の規制緩和の意向を踏まえ、現段階で現金や国債などに限定されている「適格流動資産」を株式や社債一般などにまで拡大するか否かである。また、最近の欧州債務問題で明らかになったように、全ての国債が必ずしも安全で流動性が高いとはいえない状況になっているため、「適格流動資産」と認められる国債が限定される可能性も考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日