2020年06月17日
サマリー
◆本稿は、新型コロナウイルスの影響に係る開示について、東証等の考え方を整理した上で、実際の企業の決算短信における開示を整理する。これらを参考に、今後、有価証券報告書等の開示を行う企業がどのようなポイントに気を付けるべきかを検討する。
◆東証、ASBJ等は、業績予想や会計上の見積りなどに、新型コロナウイルスの影響を反映させ、積極的に開示することを求めている。特に、「速やかに」、「具体的に」、「わかりやすく」開示を行うことが重要であると考えられる。また、業績予想や会計上の見積りにおいては前提条件や仮定を企業自らが設定する必要もあるだろう。
◆日経平均採用銘柄のうち、221社の決算短信を整理したところ、約半数(112社)が業績予想について未定としている。一方で、その112社のうち、定性的影響は記載している企業が63社あり、予想を算定することが難しくとも、どのように事業や業績に影響が生じ得るのかを具体的に記載するといった対応を取っている企業が多く見受けられた。また、221社の開示では、セグメントごとの定性的影響の記載(45社)、新型コロナウイルスの収束時期の仮定に関する記載(48社)等も一定数見受けられた。
◆金融庁は、「新型コロナウイルス感染症の影響に関する記述情報の開示Q&A -投資家が期待する好開示のポイント-」等を公表した。当文書では、有価証券報告書等において、開示が拡充された記述情報等について、「セグメントごとに」、「経営者の認識を踏まえ」、「議論の経緯等も含め」、「具体的に」、新型コロナウイルスの影響に係る記載に取り組んでいくことが期待されると示した。上場会社は、こうした資料やほかの上場会社の開示などを参考にし、定量的な情報の開示が困難な状況であっても、新型コロナウイルスの定性的な影響を具体的に記載する等、積極的な対応が求められている。
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