サマリー
◆2025年8月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月差+2.2万人と減速し、市場予想(Bloomberg調査:同+7.5万人)を下回った。過去分も下方修正された結果、雇用者数の3カ月移動平均は同+2.9万人と低い伸びとなった。なお、過去分の下方修正により、6月分の雇用者数は同▲1.3万人と2020年12月以来のマイナスとなった。7月の雇用統計で雇用者数の減速傾向が鮮明になったが、8月の雇用統計でもそのトレンドが継続している。また、失業率についても4.3%と、市場予想通りに2カ月連続で上昇した。中でも若年層の失業率の上昇が顕著になっている。移民流入の減少によって労働供給面からは失業率が上昇しにくくなっていることを踏まえれば、継続的に失業率が上昇していることは、雇用環境が見かけ以上に悪化している可能性を示唆している。レイオフ・解雇等を含む非自発的失業が急増している状況ではないものの、総じて雇用環境は悪化傾向にある。
◆金融政策に目を向けると、ウォラーFRB理事は8月28日の講演で、足元の雇用者数の減速に加えて、年次ベンチマーク改訂で予想される雇用者数の下方修正、若年層の失業率の上昇等を踏まえて雇用環境の弱さを改めて指摘した。8月の雇用統計も軟調な結果になった中、CMEが公表するFedWatchにおいて、9月16日・17日のFOMCにおける50bpの利下げ確率が雇用統計公表前日の0%から11%まで上昇する等、大幅利下げを見込む動きも一部で見られた。もっとも、雇用統計の公表日に実施されたインタビューで、シカゴ連銀のグールズビー総裁は9月FOMCでの利下げ判断は決まっていないとし、慎重な姿勢を示した。8月の雇用統計を受けて、9月FOMCで利下げが実施される可能性は高まったものの、インフレの再加速リスクに対する警戒は強い。9月のFOMCにおける利下げ幅や、ドットチャートが示唆する先行きの利下げペースを考える上では、PPI(9月10日発表)やCPI(同11日発表)、ロイター/ミシガン大学の期待インフレ率(同12日発表)といった一連のインフレ指標も併せて確認する必要があるだろう。
◆インフレ指標に加速が見られなかった場合、9月のFOMCでは雇用環境の悪化を警戒し、大幅利下げや連続利下げを検討する可能性は想定しておくべきだろう。ただし、9月6日から9月18日にかけては、FOMC前後のブラックアウト期間となり、FRB関係者の発言が制限される。FRB関係者のスタンスを測る上で、当面はメディア等に属するFRBウォッチャーが、大幅利下げや連続利下げに関する観測記事を出すかを注視するべきだろう。
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