サマリー
◆2025年5月6日・7日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジが4.25-4.50%と、3会合連続での据え置きとなった。パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、追加関税措置によるインフレ・経済への影響は依然として不確実性が高いとの見解を貫いた。足元では経済が底堅く推移しているとみられることを背景に、パウエル議長は様子見姿勢を維持することが適切であると繰り返した。
◆他方、こうしたFRBの様子見姿勢は、利下げから距離を置くというよりは、中立的なスタンスを示すものと考えられる。パウエル議長は記者会見で、利下げを急ぐ必要はないという、市場にとってはややタカ派的な印象を与える表現を用いた一方で、経済動向に応じた迅速な対応も指摘した。FRBの政策判断の余地を確保するために、パウエル議長はバランス取りに終始したといえよう。
◆なお、金融政策の先行きを占う上で、景気・インフレに対する注目度が高いのはもちろんのこと、金融環境の変化も重要だ。そもそも、FRBが様子見姿勢を継続する理由として、現状の金融環境が適切な状態にあることが前提となる。しかし、4月前半には、米国債利回りの上昇、米ドルの下落、米株価指数の下落と、金融環境が一時急激に悪化した。金融環境の悪化が続けば、景気を大きく冷やす恐れがある。
◆今回のFOMCにおいては、足元の金融環境が4月前半に比べて安定していることから、記者会見においてパウエル議長からは金融環境に関する具体的な言及はなかった。もっとも、金融環境が悪化するリスクは引き続き残る。トランプ大統領による不規則発言はもちろんのこと、相互関税の上乗せ税率をめぐるトランプ政権と各国・地域政府との交渉の動向や、債務上限問題をめぐる米国上下院での議論などによって金融環境の動向は大きく左右され得るだろう。先行きの利下げをめぐっては、景気・インフレの動向に加えて、こうした金融環境の変化にも注意が必要となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
AIの雇用への影響をどう読むか
一部の職種で狭まる若手の「入口」、経験を積む場をどう残すか
2026年10月14日
-
米DTCC、トークン化株式の本番取引を開始
証券トークン化、ウォール街の基幹的なポストトレード業務へ移行
2026年10月08日
-
米雇用者数は大幅減速、過去分も下方修正
2026年9月米雇用統計:ただし、均してみれば雇用環境は底堅い
2026年10月05日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

