米国経済見通し 市場の景気認識は悪化から再加速へと転換?

実際の景気、インフレの減速は緩やかなペースで継続

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2024年10月22日

  • 経済調査部 主任研究員 矢作 大祐
  • ニューヨークリサーチセンター 研究員(NY駐在) 藤原 翼

サマリー

◆市場の米国経済に対する見方は、景気悪化懸念とインフレ減速への期待から、景気は堅調、そしてインフレ高止まり懸念へと変わった。9月の雇用統計、小売売上高、CPIが市場予想を上回ったことで、こうした市場における認識の変化へとつながった。そして、市場の利下げ期待も急速に低下した。利下げペースを巡って、FRBがデータ次第というスタンスを続ける以上、市場の利下げ期待も経済指標によって大きく変動しやすい。

◆もっとも、足元の経済指標は、8月の米国経済見通しレポートにおいて指摘した、これまでの雇用環境の悪化は懸念するほどではなく、インフレ減速を楽観視し過ぎるべきではない、という見方を裏付けるものともいえる。雇用環境の先行きについても現時点でトレンドが変化したとまではいえず、大幅に悪化するような可能性も低ければ、大幅に改善する可能性も低いとの見立てを据え置く。懸念が再燃したCPIの高止まりに関しては、従来通り、緩やかな減速が続くとの見方に変わりはない。

◆景気やインフレの緩やかなペースでの減速は、大幅利下げを期待していた市場を落胆させたかもしれない。しかし、現時点での景気の更なる減速はソフトランディングにとって望ましくない。利下げフェーズへ移ったとはいえ、効果の発現にはタイムラグがある。加えて、大統領選挙が大接戦となっていることで、経済政策の見通しがつきづらい。不確実性が高い中で、企業や家計も消費や投資を積極化させるというよりは、様子見を続けるだろう。景気が落ち込んだ際のサポート要因が限られる中で、景気が腰折れしていない現状を安心材料として捉えるべきといえる。

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