サマリー
◆2024年11月5日に実施される米国大統領選挙の争点の一つに、「トランプ減税」の時限立法(個人税制に関連する減税措置の多くは2025年末に失効)の延長の是非が挙げられている。
◆Tax Policy Centerによる、所得階層ごとの調査(2017年12月18日公表)によると、「トランプ減税」の時限立法が全て失効した場合、2027年時点で、過半数の約53%の世帯が増税になる。
◆最も影響が顕著に出るのが中間層であり、約70%の世帯が増税になる。これに対して、超富裕層になると、増税になる世帯は限られる。上位1%の所得階層では、約24%の世帯が増税になる。上位0.1%の所得階層では、増税になる世帯は8%のみである。
◆米国議会予算局(CBO)による、財政関連の調査(2024年5月8日公表)によると、「トランプ減税」の時限立法が全て延長された場合、向こう10年間(2025年から2034年)で、約$4.58兆の財政赤字をもたらす。
◆最も影響が顕著に出るのが、個人税制に関する時限立法の延長であり、約$3.26兆の財政赤字をもたらす。これに対して、法人税制に関する時限立法の延長は、約$0.55兆の財政赤字をもたらすにとどまる。
◆「トランプ減税」では、時限立法以外の重要な変更として、法人税率の軽減がある。その内容は、旧制度における「最高35%」から「一律21%」への軽減である。この法人税率の軽減が、法人税収入にどのような影響を与えたのかについては、議論が分かれている。
◆民主党は、法人税率を現行の「21%」から「28%」に引き上げる旨提案している。そのため、「トランプ減税」の時限立法の延長の是非のみならず、法人税率の軽減の評価についても、選挙の重要な争点となって然るべきである。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
日本経済見通し:2025年1月
2025~34年度における経済財政・金利・為替レートの中期見通し
2025年01月24日
-
2025年、インドの消費回復の行方は?
都市部中間層の消費回復がカギ。2/1発表予定の予算に期待
2025年01月23日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言方針改定
2025年以降の株主総会に適用する助言方針改定はほぼ既報の通り
2025年02月04日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
日本経済見通し:2025年1月
2025~34年度における経済財政・金利・為替レートの中期見通し
2025年01月24日
2025年、インドの消費回復の行方は?
都市部中間層の消費回復がカギ。2/1発表予定の予算に期待
2025年01月23日
グラス・ルイスの議決権行使助言方針改定
2025年以降の株主総会に適用する助言方針改定はほぼ既報の通り
2025年02月04日