サマリー
◆2024年7月30日・31日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジが、従来の5.25-5.50%で据え置かれた。これで、2023年9月のFOMC以降、8会合連続で金利は据え置きとなった。
◆金利据え置きが予想されていた中で、今回のFOMCでの注目点は、足元のインフレ鈍化を受けて、利下げ開始に向けたシグナルがどの程度発せられるかであった。パウエルFRB議長は、政策変更はデータ次第との姿勢を継続する一方で、利下げに向けた地ならしをするような表現も繰り返した。パウエル議長はインフレ減速について自信が高まったと強調し、雇用の急速な悪化の可能性についての質問に対しては、非常に注意深く見守るとした。また、9月利下げの可能性については、期待通りのデータが得られれば議題に上がると指摘している。
◆他方で、9月のFOMCでの利下げは市場も織り込み済みであり、焦点は早くもその後の利下げのペースへと移る。6月のFOMC時点で参加者のFF金利予想は、2024年内の利下げ幅は0.25%ptであり、9月に利下げを実施すれば、その後は据え置きということになる。仮に、2024年内に0.25%ptの利下げが2回以上とするのであれば、FOMC参加者が想定する以上にインフレが減速しているか、雇用環境が冷え込んでいることが前提となるだろう。例えば、PCE価格指数・コアPCE価格指数の伸び幅が前月比+0.2%よりも小さくなる場合や、失業者数の四半期当たりの増加ペースが直近の増加ペース(前期差+31万人程度)となる場合は、2024年内の利下げ回数を増やす根拠となり得るだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
FOMC 様子見姿勢を強調
景気・インフレに加え、金融環境の変化が利下げのタイミングを左右
2025年05月08日
-
非農業部門雇用者数は前月差+17.7万人
2025年4月米雇用統計:景気への不安が高まる中で底堅い結果
2025年05月07日
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日