サマリー
◆2023年7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+4.9%と、市場予想(Bloomberg調査:同+4.5%)を上回った。2023年4-6月期から大幅に加速し、2021年10-12月期以来の高い伸びとなった。内訳を見ると、設備投資がマイナスに転じるも、個人消費や住宅投資が全体を押し上げた。結果、米国経済の自律的な成長を反映する民間最終需要(個人消費、設備投資、住宅投資の和)も加速した。米国経済は好調を維持したと評価できる。
◆2023年10-12月期の実質GDP成長率は減速すると見込まれる。雇用環境は堅調も、消費余力の低下やインフレの高止まりが個人消費の重石となり得る。また、引き締め的な金融環境を背景に設備投資や住宅投資は抑制されるだろう。もっとも、景気が先行き減速することは、FRBが期待する方向と考えられる。景気が堅調であるほど、FRBは金融引き締めを続けることになる。その結果、金融システムへの負荷が増し、景気の大幅な調整という帰結に至る恐れがある。米国経済が大幅な景気悪化を経ずにインフレが落ち着いていくというソフトランディングを実現する上で、景気の緩やかな減速はポジティブなサインといえるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日