サマリー
◆足下の米国経済は、企業部門の弱さが目立つ一方、家計部門は堅調さを維持するという二極化状態となっている。インフレ動向を見ても、CPIのヘッドライン及びコアの前月比の伸びが小幅なものとなり、減速傾向は続いているが、コアサービスの高止まりやエネルギー価格の先高観など懸念材料もある。
◆企業部門の弱さが今後一層際立てば、需要の抑制や雇用環境の悪化などを通じてインフレが減速していく可能性がある。一方で、堅調な個人消費が景気を下支えし、インフレが高止まりする可能性もある。FOMCは景気の上振れと下振れの可能性を両にらみしながら、追加利上げの是非を判断する難しい局面に直面している。
◆市場参加者にとっても金融政策の先行きが見通しにくくなっている中で、8月24日-26日にジャクソンホールで開催される金融政策に関するシンポジウムで、FOMC参加者のスタンスを確認することとなろう。インフレ圧力の持続や金融引き締めの効果が薄まっていることが強調されれば、追加利上げや引き締め的な金融環境を維持する期間が長期化するシグナルと捉えるべきだろう。他方で、金融不安定性に対する強い懸念が示されれば、更なる金融引き締めに対してFOMCが慎重なスタンスを取っていると認識すべきだろう。
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