サマリー
◆2022年4月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月差+42.8万人となり、市場予想を上回った。失業率に関しては、前月から横ばいの3.6%となった。ヘッドラインでみれば堅調だが、就業者が減少し、非労働力人口が増加したことや、レイオフによる失業が増加したこと等、冴えない指標も混じる。なお、賃金上昇率は小幅に鈍化するも、労働参加率や就業率などが低下したように労働供給の拡大は一進一退であり、労働需給のタイトさは継続している。
◆雇用環境の先行きについては、回復ペースが徐々に鈍化していくとの見立てを維持する。労働供給に関しては、プライムエイジ(25-54歳)の労働力人口は2月にコロナ禍前の水準に回復した後、4月は伸び悩んでいる。また、労働需要に関しても、求人件数は足下も増加しているが、雇用に関連した企業マインドの悪化を反映し、徐々に抑制されていくと考えられる。ただし、労働供給の伸び鈍化も労働需要の抑制も、コロナ禍からの回復が終盤を迎えるとともに通常運転へと移行する過程と考えられ、雇用環境が急激に悪化へと向かうことも考えにくいだろう。
◆金融政策運営への示唆として、今回の雇用統計の結果はFRBが急ピッチで利上げを進めることをサポートするものと考えられる。6月のFOMCでも0.50%ptの利上げが想定される中で、実施できるか否かは雇用環境を含めた景気の力強さ次第といえる。パウエルFRB議長が、5月のFOMCの記者会見で1回の経済指標で金融政策運営は左右されないと発言していたことを踏まえれば、4月の雇用統計のヘッドラインが堅調であった以上、たとえ5月の雇用統計が冴えない結果となっても、0.50%ptの利上げ実施の障害にはならないだろう。
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