サマリー
◆2022年3月15・16日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジが、従来の0.00-0.25%から0.25-0.50%へと0.25%pt引き上げられた。政策金利の引き上げは2018年12月の会合以来、3年3ヵ月ぶりであり、2020年3月以来続いてきた実質的なゼロ金利政策の解除が決定された。なお、0.25%ptの利上げに関しては、3月2・3日に開催された上院公聴会でのパウエルFRB議長の議会証言で示唆されており、市場参加者にとって特段の驚きはない。
◆注目される今後の利上げスケジュールに関しては、FOMC参加者によるFFレートの見通し(ドットチャート)において、2022年は7回分、2023年は3.5回分の計10.5回分の利上げが示された。市場参加者やエコノミストが予想する利上げペースを大幅に上回っており、タカ派的な結果となったといえる。FOMC参加者のタカ派的なスタンスは、先行きの景気の力強さを前提としたものであるが、パウエル議長も認めるようにウクライナ危機など米国経済の先行きに関する不確実性は高まっている。また、市場参加者は今回のFOMCの結果を受け、景気後退懸念を強めている。市場参加者にとってFOMC参加者がタカ派的であることは明確となったが、その利上げのペースの実現可能性に対する疑念は一層募っているといえよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
-
米国の州年金基金とビットコイン現物ETF
「戦略的ビットコイン準備資産」の実現により保有ニーズが高まるか
2025年04月25日
-
「トランプ2.0」における米国金融規制の展望
~銀行システム、暗号資産ビジネスと結合か~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日